2006 Fiscal Year Annual Research Report
相同性遺伝子導入による内在性遺伝子の異所的転写活性化の分子機構解明
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05J00782
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
渋谷 健市 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域耐病性研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ペチュニア / エピジェネティクス / 転写制御 |
Research Abstract |
ペチュニアの花器官決定遺伝子の一つであるpMADS3の転写制御領域をペチュニアに導入した結果、内在性pMADS3のエクトピック転写活性化が誘導される新規なエピジェネティック現象をすでに論文発表した。昨年度までの解析の結果、1)本現象はpMADS3イントロン2が含まれる場合にのみ誘導される、2)導入遺伝子が分離した後代でも形質が持続する、3)pMADS3イントロン2のアンチセンスRNAが検出される、4)イントロン2部分配列の逆反復配列RNAをペチュニアで発現させることにより、内在性pMADS3エクトピック発現が誘導されること、を見出した。本年度、我々は、イントロン2をさらに細分化した領域に対応する逆反復配列RNAを発現することにより、内在性pMADS3のエクトピック転写活性化に関与する100bpからなるDNA配列を特定した。内在性pMADS3のエクトピック発現を示す形質転換系統においては、このDNA配列中のCpGおよびnon-CpG両方のメチル化が誘導されていた。また、メチル化されている領域の配列に対応するsmall RNAが検出された。これらの結果は、この100bp配列のRNA-directed DNA methylation (RdDM)が、pMADS3のエクトピック発現誘導に関与していること示唆している。また、内在性pMADS3エクトピック発現を示す形質転換体において、転写制御への関与が知られている主なヒストン修飾について解析した結果、非形質転換体との差異は認められなかった。このことは、pMADS3のエクトピック転写活性化は、ヌクレオソーム修飾によるクロマチンの構造変化によるものではなく、DNAメチル化がより直接的に関わる転写制御であることを示唆している。本研究の結果は、植物において、RdDMを介する遺伝子の転写活性化という新しい遺伝子発現制御機構が存在することを示すものである。
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Research Products
(1 results)