2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロキャビティーを導入した面発光型有機半導体レーザの実現
Project/Area Number |
05J00817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
合志 憲一 九州大学, 未来化学創造センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機光エレクトロニクス / 有機LED / 有機半導体レーザー / マイクロキャビティー |
Research Abstract |
有機LEDの膜厚(〜100nm)は波長オーダーであることから、光共振器構造を取り込むことにより、自然放射光を制御できる可能性が示唆されている。マイクロキャビティー(MC)による自然放出光の制御には共振器の性能が高くなければならない。そこで本年度においては、誘電体多層膜ミラーを用いた高性能な共振器構造について検討した。 高性能な共振器構造として二つの誘電体多層膜ミラーを用いて、誘電体多層膜(SiO_2とTiO_2を6対)/MgF_2/発光層/MgF_2/誘電体多層膜(SiO_2とTiO_2を5対)で構成されるMCについて検討した。誘電体多層膜ミラーの作成方法はスパッタリング法でおこなった。緩衝層としてMgF_2を有機層の上に真空蒸着法によって製膜し、その上に誘電体多層膜ミラーを形成したところ有機層は破壊されずに、共振器モードの半値幅〜1nm(Q値〜400)の高性能な共振器構造を実現した。 また、電流励起によるレーザ発振は高いレーザ発振閾値のために未だ観測されておらず、有機半導体レーザの実現にはレーザ閾値の更なる低減化が必要となる。そこで本年度においては、更なるレーザ閾値を低減化するために、MC中において励起子と共振器モードが強結合した励起子ポラリトンをレーザに利用したポラリトンレーザの可能性について検討した。 今回、AgとMgAgで構成されるMC中にASE活性な有機分子を活性材料として用いた電流励起可能なデバイス構造において、励起子ポラリトンの可能性及び励起子ポラリトンからのELについて検討した。その結果、光子と励起子が強結合した励起子ポラリトンが形成された証拠であるラビ分裂が観測された。この結果からレーザ色素を用いて強結合状態にある励起子ポラリトンを生成することが可能であることを示唆した。
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