2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00842
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸岡 伸洋 北海道大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 潜熱蓄熱 / 廃熱有効利用 / カスケード利用 / 水素製造 / メタン水蒸気改質 / 熱輸送 |
Research Abstract |
高温プロセスから断続発生する廃熱は相変化物質(PCM)を介すことにより高温のまま高密度に蓄熱、一定温度かつ連続的な熱源に変換・再利用可能である。PCMは相変化時の潜熱を利用した蓄熱体で、様々な中高温廃熱に対応したPCMの開発は必須の課題である。また蓄熱した熱をメタン水蒸気改質反応などの化学吸熱反応の熱源に利用することにより、安価で省エネルギーな水素製造が可能になる。 昨年度は高温廃熱蓄熱用PCMの開発およびPCM利用型高温廃熱回収水素製造装置の作成を行った。今年度は現行水素製造プロセスの実操業データの熱物質収支解析を行い、その結果をもとにPCM利用システムのプロセスシステム工学的検討を行った。また、融点が140℃程度の熱輸送用PCMの調査も行った。以下にその詳細を述べる。 (1)PCM利用型高温廃熱回収水素製造システムの評価 現行メタン改質水素製造システムのデータ収集、物質収支、修正エンタルピー、エクセルギーおよび経済性の解析に基づき、高温廃熱利用型水素製造システムの評価を行った。現行システムは水素1Nm^3製造当たり原料に0.34Nm^3、燃料に0.23Nm^3の天然ガスを消費し、同時に1.48kgのCO_2を排出する。すなわち投入天然ガスの約40%は燃焼し損失する。したがって高温廃熱を利用すれば、投入天然ガス40%、原料費36%、CO_2排出量36%、およびエクセルギー損失24%を削減可能であることを示した。日本の鉄鋼業に本システムを適用すると年間56億Nm^3の水素が製造でき、日本の年間排出量の0.26%に相当する330万トンのCO_2排出量削減が見込まれる。 (2)PCM利用熱輸送システム開発 140℃程度の蓄熱が可能なPCMをTG-DTAおよびDSCを用いて調査した結果、エリスリトール等の人工甘味料が蓄熱量および耐熱性に優れ、高密度、高エクセルギーな熱輸送の可能を示唆した。
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Research Products
(2 results)