2007 Fiscal Year Annual Research Report
無機材料をベースとするプロトン伝導体の作製と広温度範囲作動型燃料電池の構築
Project/Area Number |
05J00864
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
手塚 照明 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 中温領域 / 無機-有機ハイブリッド / 酸-塩基対 |
Research Abstract |
今年度は、中温領域において無加湿条件下で使用できる電解質膜として、塩基性サイトを有するオルガノアルコキシシラン(3-アミノプロピルトリエトキシシラン,APTESおよび3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン,AEAPTES)とオキソ酸(リン酸、硫酸)を出発物質とし、ゾル-ゲル法によって構造中に酸-塩基対を有する無機-有機ハイブリッド膜の作製を検討した。 APTESとリン酸からなるハイブリッド膜は、リン酸の脱水縮合が開始する150℃付近まで熱的に安定であった。リン酸の添加によってAPTESのアミノ基がプロトン化されていることが確認され、酸-塩基対の形成が示唆された。作製した膜は、酸-塩基対が外周に存在するロッド状ポリシロキサンが積層したヘキサゴナル構造を有していることが推測された。作製した膜の導電率は、酸-塩基対を形成しているアニオン種に大きく依存し、アミノ基とリン酸が当モル量の膜では150℃・無加湿条件下で4×10^<-4>Scm^<-1>を示した。オキソ酸として硫酸を用いた膜との比較より、アニオン種の酸性度が高いほど高い導電率を示すことが推測された。 一方、AEAPTESと硫酸からなるハイブリッド膜は、硫酸の分解が起こる300℃付近まで熱的に安定であった。また、上述のAPTES-リン酸膜と同様に、硫酸とアミノ基からなる酸-塩基対の形成、およびこれらを外周に有するロッド状ポリシロキサンの積層によるヘキサゴナル構造を有していることが示唆された。作製した膜の導電率は、存在するアニオン種により大きく変化し、150℃・無加湿条件下で1×10^<-3>Scm^<-1>を示した。オルガノアルコキシシランとしてAPTESを用いた膜との比較より、有機鎖中に存在するアミノアミノ基の位置、数によりプロトン伝導経路が変化することが示唆された。
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Research Products
(3 results)