2006 Fiscal Year Annual Research Report
摂動論的QCDにおけるRESSUMATIONの手法の改良と、散乱過程への応用
Project/Area Number |
05J00879
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
横谷 洋 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 摂動論的QCD / 高エネルギーハドロン散乱 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き、Drell-Yan過程におけるthreshold resummationの手法における対数近似の精密化についての研究を主に行った。昨年度の実績によって、我々は、対数近似の主要項の次の次の精度の補正までを取り込んだ計算結果を得たが、今年度はさらに、発展方程式の行列構造を反映したSudakov因子の修正を試みた。これによって、パートン系の初期状態にグルオンが入るような過程の主要対数項をも取り込むことができ、また、その高次項の振る舞いを知り得ることが出来た。この効果は、J-PARCなどの陽子陽子散乱では、初期状態にグルオンの入る場合の効果が比較的大きいので、重要になると思われる。 さらに、我々は、この結果をレプトン対のラピディティ分布に応用し、J-PARC実験で計画されているハドロン実験に対するQCD補正の詳細な計算を行った。その結果、QCD補正は大きいものの、resummationによって対数項を取り込んだ後は、その対数近似の精度には大きくよらないということが示された。この内容は、Werner Vogelsang氏との共同研究で行われ、国際会議DIS2006やSPIN2006で発表された。また、現在、論文を執筆中である。 また我々は、萩原薫氏や日笠健一氏と共に、Tevatron加速器でのWボソン生成におけるレプトン分布のパリティ非対称性についての研究を行った。この研究は、共同研究者らの過去の研究に基づいており、我々が今回再解析を行った結果、QCDの高次補正によって生じる稀な非対称度が、現在運転中のTevatron加速器で良い精度で測定可能であることが示された。この研究は、Physical Review Letters誌に掲載された。
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Research Products
(3 results)