2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘起ルミネッセンスの機構解明と線量測定等への応用
Project/Area Number |
05J00902
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八幡 崇 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放射線誘起ルミネッセンス / 人工石英 / 天然石英 / 青色熱ルミネッセンス / 赤色熱ルミネッセンス / 不純物量 |
Research Abstract |
石英などの絶縁性無機物質は電離放射線との相互作用の結果、ごく一部の放射線エネルギーが結晶中の不純物部位に捕捉される。このエネルギーは、加熱により熱ルミネッセンス(TL)として観測でき、新しい物性情報をもたらすことが期待される。 石英からは、青色TL(BTL)と赤色TL(RTL)の2種類の発光が観測される。石英中の不純物量とTL発光色との相関を得た結果、Al不純物をあまり含まない熱水起源の石英粒子(20〜250ppm)などはBTL特性を示し、Al不純物を多く含む石英試料(400ppm〜)は、RTL特性を示すことが分かった。つまり、石英からのTL発光色は含まれる不純物量と密接な関係があることが確認された。 人工および天然石英からのBTL発光強度とAl不純物量を測定した結果、数十ppmまではAl不純物量に応じて発光強度が増加するが、それ以上のAl濃度では、濃度に応じて減少する傾向を示した。これはBTLの発光中心がAl不純物により形成されており、そのためAl不純物による濃度消光効果の影響を受けていると理解された。さらに石英中のOH基関連不純物量に対しても逆相関を示したことから、BTL発光は放射線分解によって生成する水素ラジカルによる消光の影響も受けることが明らかとなった。 対照的にRTL発光強度は、Al不純物量の2乗に応じて増加する傾向を示した。これは、Si部位に置換した2つのAl不純物が関連して誘発したものが発光中心を形成していることが示唆された。これらの結果をまとめた論文は外国学術誌に印刷中である。 なお成果の一部は、ドイツ(ケルン)で開催の放射能測定関連の国際会議(2005年7月)、ハワイで開催された化学の国際会議(2006年12月)で発表するとともに、2005年度日本アイソトープ協会RADIOISOTOPES誌論文奨励賞を授与される光栄に浴した。
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Research Products
(3 results)