2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における産業化の政治社会構造的要因の地域比較分析
Project/Area Number |
05J00968
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
太田 有子 国際基督教大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 産業化 / 比較分析 / 地域 / 社会変動 / 日本経済 |
Research Abstract |
本研究は、近代日本の産業化の地域的特色とその政治的背景を明らかにするもので、各地域の比較分析を通じて産業化を規定する政治・社会構造的要因を示すことが本研究の目的である。 今年度の成果としては、内外の先行研究の議論を検証し、比較社会学的見地から本研究の意義を考察した。従来の研究において、産業化の社会的背景や影響に関わる議論はなされているものの、その政治的要因に関わる議論が稀少である。特に西欧地域における初期産業化の分析は、日本の初期産業化の分析に多くの影響を与えているが、その多くは人口動態の産業化への影響などの分析が中心となっており、政治体制と各地域の産業構造の関連は十分に議論されていない。一方、明治期以降の産業化に関する議論としては、政府主導下による輸出振興政策が強調され、明治期以前の政治社会状況に関する議論やその地域性に関する分析が稀である。本研究は、政治体制が各地域の産業構造ならびに産業化のあり方を規定するという見地を検証することを目的としていることから、比較社会学的議論においても、従来の経済史における日本の産業化に対する理解に対しても、新しい知見を示しうることを改めて確認した。 資料調査の状況としては、当該地域に関する資料を収集、分析を行っている段階である。現時点までの分析において、徳川期以来の政治社会構造が、明治期以降も各地域の産業構造を持続的に規定している側面があることや、中央政府と地方政府間の関係が、新技術導入に関する政府からの財政支援規模や、産業資本の集中、拡散の程度に影響していることなどが次第に明らかになっている。分析の詳細に関しては、来年度以降、論稿としてまとめ、内外の学術誌および学会において発表する予定である。 また調査方法としての比較分析に関わる議論を本研究の経過報告とともに学会にて発表した。
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Research Products
(2 results)