2005 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯地域における大気エアロゾルの光化学特性について
Project/Area Number |
05J01004
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岡田 孝一郎 琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Fe(II) / 光化学 / 亜熱帯 / 沖縄 / エアロゾル |
Research Abstract |
琉球大学(2005年6月〜)、沖縄本島北部の辺戸岬(2005年8月〜)の2ヶ所にハイボリウムエアサンプラーを設置し、フィルター上にエアロゾル粒子を採取した。採取期間は1週間であり、採取したフィルターは冷蔵保存した。採取したフィルターを超純水中に浸して撹拌し、エアロゾル中の水溶性成分を抽出した(エアロゾル抽出液)。このエアロゾル抽出液にモノクロメーター(単色光)を用いて光を照射し、エアロゾル抽出液中で光化学的に生成するFe(II)を研究した。 エアロゾル抽出液に光を照射するとFe(II)の生成が確認でき、光生成したFe(II)濃度はエアロゾル抽出液中存在する全溶存鉄濃度の80-100%に短時間で達した。この結果から、エアロゾルが大気中を浮遊している間にFe(II)が短時間に生成し、エアロゾル中の液相に存在する鉄のほとんどはFe(II)になっているということが示唆された。 エアロゾル抽出液中のFe(II)光生成の量子収率は、時期や場所により変動することがわかった。これは、それぞれのエアロゾル中の鉄のスペシエーションが異なることを示唆している。また、Fe(II)光生成の量子収率には照射波長340nm付近で最も高いという波長依存性があることがわかった。このことから、Fe(II)光生成には340nm付近の光を吸収する物質が大きく影響を与えていることが考えられる。 本研究と過去に報告されているデータを比較すると、エアロゾル中で光化学的に生成するFe(II)の供給源は、鉄-水酸化物錯体ではなく、鉄-有機物錯体である可能性が高いことがわかった。
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Research Products
(2 results)