2006 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける地域社会の復興と生活世界の編成:ポルポト期以後の構築過程の研究
Project/Area Number |
05J01165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 知 京都大学, 地域研究統合情報センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | カンボジア / 国家権力 / 全体主義的支配 / 社会復興 / 文化再編 / コミュニティ / 生活世界 / 革命 |
Research Abstract |
平成19年度は、まず、論文ポル・ポト時代以後のカンボジアにおける地所有の編制過程」を公表した。本論文では、ポル・ポト政権の集産化政策によって白紙化された農地をめぐる所有関係が1979年以後にいかに再確定したのかを、一村落の悉皆調査で蒐集した資料をもとに分析した。そして、1980年代の人民革命党政権が政策として実施した集団農業生産体制(クロムサマキ)が大枠としての経路をつくったこととともに、農村に生きる人々が内戦以前から保持していた慣習法的な占有権の認識が基礎としてあったことにより、農地の所有権が目立った混乱のないまま再編制されてきたことを明らかにした。 他方で、研究協力者として4年前から活動に参加してきた科研プロジェクト「東南アジア大陸部・西南中国の宗教と社会変容一制度・境域・実践一」(研究代表者、林行夫、京都大学地域研究統合情報センター教授)の最終報告書に、論文「現代カンボジアにおける宗教制度に関する一考察-上座仏教を中心として-」を発表した。さらに、その論文の内容を発展させて、第75回東南アジア史学会において「ポル・ポト時代以後のカンボジア仏教における僧と俗」という研究発表を行なった。これらは、ポル・ポト時代にいったん断絶したカンボジアの人々の仏教徒としての活動の復興状況を、国家が策定する制度と生活の中の宗教実践の両面から、総合的に考察しようという取り組みである。 本年度は、さらに、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科へ博士学位論文「ポル・ポト時代以後のカンボジアにおける地域社会の復興」を提出した。現在は、その原稿を出版に向けて改訂している。また、カンボジアに渡航し、プノンペン大学人文社会学科の教官諸氏とともに首都プノンペン近郊の農村の短期調査を行った。
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Research Products
(1 results)