2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若槻 聡 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジーゲルカスプ形式 / 次元公式 |
Research Abstract |
まず本研究の成果として、splitなQ-形式およびnon-splitなQ-形式に関するフルモジュラー群とその主合同部分群について、2次のベクトル値ジーゲルカスプ形式の空間の明示的次元公式を決定した。 splitなQ-形式の場合はTsushimaがすでに計算しており我々の結果はその別証明である。non-splitなQ-形式に関する結果は新しい。またスカラー値の場合は過去に多くの研究者によって、すでに研究されてる。我々の結果はスカラー値での結果および証明をベクトル値へ一般化したものとなっている。この研究を通じて次元公式に現れる軌道積分の数値を表現論的に解釈することを学んだ。 次に本研究では、レベル3以上の主合同部分群に関する一般次数のスカラー値ジーゲルカスプ形式の次元公式の予想をセルバーグ跡公式によって研究してきた。この予想の根拠は,跡公式での次元公式の計算における中心的冪単共役類の寄与がIbukiyama-Saitoにより明示的に与えられたことと,他の共役類の寄与がゼロになると予想されていることである.つまり本研究の目標は、その寄与のゼロを証明することである.その証明のために我々が取り組んだことは、従来の計算手法だけでなく表現論的な手法を取り入れることであった。計算における主な問題は(i)実共役類の分類と中心化群の明示的決定、(ii)跡公式における積分と無限和との交換の問題、(iii)各共役類の寄与の明示的計算、の3つである。ただし(iii)については(ii)の問題の解決の仕方によるので、まだ取り組んでいない。まず(i)の実共役類の分類は従来の手法で計算できている。そして、中心化群に関してはLie環の上では一般論で明らかなので、ほとんどが解決した。(ii)の問題が最も難しい。従来通りの手法では上手に(iii)の解決に結びつかないので、表現論的な手法である、アーサー跡公式の手法を取り入れる研究を続けている。
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Research Products
(1 results)