2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須山 孝夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超弦理論 / タキオン凝縮 / 量子重力 / CFT |
Research Abstract |
私の今年度の研究は、絃理論におけるタキオン凝縮と言う現象の理解に向けたものでした。閉絃理論におけるタキオン凝縮は、時空構造に対する大きな効果を生じるため、絃理論における重力相互作用をより深く理解するための良い研究対象だと考えられます。私はまず、タキオン凝縮を解析するための道具の開発を試みました。開絃理論におけるタキオン凝縮には絃の場の理論が用いられ、近年大きな成功を収めていますが。閉絃の場の理論は非常に複雑な構造をしているため、実際の解析には不適切です。私はgauged linear sigma model (GLSM)として知られる2次元ゲージ理論を用いたタキオン凝縮の解析を研究し、その適用範囲を広げることに成功しました。これにより、それまでは近似的にしか分かっていなかった時空構造の変化の様子が全てのα'補正を加えても正しいことが示されました。私はまた、タキオン凝縮によって引き起こされる時空の改変について、今までよりも一般的な状況での様子を調べました。このような一般的な解析を行うには、低エネルギー有効理論を仮定して議論することが避けられないのですが、このような議論が正当化できる場合があることは知られています。私は重力場の方程式の解を系統的に調べ、タキオン凝縮がどのような時空構造を実現する可能性があるのかを示しました。ごく最近になって、私はこの研究を更に詳しく解析し、タキオン凝縮の結果としてブラックホールが生成されることを示しました。このような研究は、絃理論における真空の構造と言う、物理理論にとって最も重要な情報についての知見を得る鍵になると考えられます。
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Research Products
(2 results)