2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須山 孝夫 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超弦理論 / AdS / CFT 対応 / ヤン・ミルズ理論 / 量子重力 / タキオン凝縮 |
Research Abstract |
本年度での研究を予定していた AdS/CFT 対応についての研究と3次元ヤン・ミルズ理論の研究は、いずれも研究成果を論文としてまとめることが出来た。タキオン凝縮については発表された成果は無かったが、量子論的な効果の影響について現在も研究を続けている。 AdS/CFT対応については、川合教授との共同研究により、一部の主張については対称性に基づく「物理的証明」を与えることに成功した。AdS/CFT対応とは、ゲージ理論に基づいて量子重力理論を構成しようという試みである。これが正しいとすれば非常に驚くべきことであるが、10年近い研究によってその正しさを示唆する証拠が多く発見され、現在では多くの研究者がその正しさを信じている。しかし、そのような対応が存在するという理論的根拠はこれまで皆無であった。我々は、超弦理論においてある種の近似的対称性の存在を示し、その帰結として AdS/CFT 対応が任意の精度で成り立つことを示した。このような研究は、AdS/CFT対応及び量子重力理論についてのさらに深い理解を得るための重要なステップであると考えられる。 ヤン・ミルズ理論は素粒子同士の相互作用を記述する重要な理論であり、その性質の理解の重要性は言うまでも無い。私は福間教授らとの共同研究で3次元版の理論の解析を行い、閉じ込めなどの非摂動論的効果を記述するための手法を開発した。これは理論の対称性を最大限に生かしたものであり、くりこみによって生じる困難を回避することを可能にするものである。3次元ヤン・ミルズ理論は、現実の世界を記述する4次元理論を解析する基礎とすることが出来るため、我々の研究は理論的のみならず現実的な現象の理解にも重要な寄与を与えると考えられる。
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Research Products
(3 results)