2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 健彦 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 双有理幾何学 / 特異点 / 形式的スキーム |
Research Abstract |
双有理幾何学において、特異点解消は非常に基本的な問題である。広中は全ての標数0の体の上の代数多様体は爆発と呼ばれる操作を繰り返すことで特異点解消可能であることを証明した。そこで自然に「全ての代数多様体は一つのステップで特異点解消可能か?」という問題が考えられる。私はナッシュ爆発の高次版である高次ナッシュ爆発という手法を考案し、これを使い一つのステップで特異点を解消する可能性に注目した。そして、曲線の場合にこれが実際に可能であることを証明した。高次ナッシュ爆発は与えられた代数多様体の部分スキームのモジュライ空間になっているので、良い特異点解消のモデルとなることが期待される。また、エタール射と可換であるために、Deligne-Mumfordスタックの高次ナッシュ爆発も自然と定義され、スタックの双有理幾何学への応用も考えられる。 また、葉層構造を備えた代数多様体の研究のなかで、形式的スキームの部分スキームに関する病的な現象を観察した。Grothendieckにより導入された形式的スキームは無限小解析を行うために重要な概念だが、その基礎付けはまだ十分になされていないことがわかった。そのなされるべき基礎付けのひとつとして、形式的スキームの部分スキームについて考察を行い、理論を整備した。部分スキームより一般な概念、擬部分スキームという概念を定義し、その中で初めてスキーム論的な閉包をとることができることを示した。
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