2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑田 和正 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 拡散過程 / 最適カップリング / リーマン多様体 / ブラウン運動 / 測度付き距離空間 / ディリクレ形式 / 放物型ハルナック不等式 |
Research Abstract |
拡散過程に対して、カップリングの問題、すなわち、異なる2点から出発する2つの(同じ推移確率を持つ)拡散過程で、相互に依存して動くものを考える。拡散過程に付随する解析的量の評価への応用上、なるべく早い時間で2粒子が遭遇するカップリングに興味がある。そのようなカップリングの性質は、拡散過程の長時間挙動と強い相関がある。 ユークリッド空間上のブラウン運動の場合には、空間の対称性より、上記の意味で最適なカップリングが一意に存在する。対応する対称性の条件の下、一般の距離空間上の拡散過程に対して一意性の充分条件を考察し、(対称性の条件を満たす)完備リーマン多様体上のブラウン運動の場合に結果を一般化した。 この研究に関連して、ドイツ連邦共和国のボン大学に滞在し、受入研究者であるK.-Th.Sturm氏らと当該研究について議論した。さらに、同氏との共同研究で、空間の幾何構造から自然に定まるKendall-Cranstonのカップリングが、上記の最適性を満たさない例を構成した。 また、測度つき距離空間上の拡散過程の長時間挙動の安定性に関する問題を扱った。幾何学的に良い性質を持つリーマン多様体上のブラウン運動に対し、推移確率の長時間でのガウス型の不等式評価は、あるクラスの測度変換で不変となる。この結果を、一般の測度つき距離空間上の対称拡散過程に対する劣ガウス型評価の安定性へと拡張した。 この研究に関連して、アメリカ合州国のコーネル大学に滞在し、受入研究者であるL.Saloff-Coste氏らと当該研究について議論し共同研究を進めた。 これらの結果は、論文を執筆中、または投稿中である。また、京都、福岡、Bielefeld(ドイツ)、Bonn(ドイツ)、Ithaca(アメリカ)の各地で開催された研究集会およびセミナーで研究成果を報告した。
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