2006 Fiscal Year Annual Research Report
機能性分子集合体の開発を目指した新規イミダゾール連結型化合物の合成と物性研究
Project/Area Number |
05J01304
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 剛志 京都大学, 理学研究科・化学専攻, 特別研究員(PD)
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Keywords | イミダゾール / 核酸塩基 / 有機伝導体 / 水素結合 / 電荷移動錯体 / 超分子化学 |
Research Abstract |
本研究者は、新たなTTF-イミダゾールの誘導体としてセレン原子を導入することによってカルコゲン原子間相互作用の増強を計ったTSF-イミダゾール類の合成を行った。これらの結晶中で、イミダゾール骨格での水素結合とカルコゲン原子間相互作用によって多次元的な集合構造が形成していた。また、電荷移動錯体中においてこのドナー分子が、TTF体で観測されたものと同様の水素結合の電子的な効果を発現していることを明らかにし、いくつかの高導電性錯体を得ることに成功した。 本研究者はさらに、核酸塩基を含む電荷移動化合物の研究も行った。TTF骨格から核酸塩基骨格(ウラシル、イゾシトシン環)が縮環した分子(ピリミド縮環型TTF)から誘導される中性ベタインラジカルを用いた単一成分有機導電体の開発を行った。本年度は、アミノオキソピリミド縮環型の伝導体にアルキル置換を施すことによって水素結合形成を阻害した誘導体を合成し、その物性いついて調べた。これは従来合成されている関連する中性ベタインラジカルと比べると低いものの、有機単一成分としては高い伝導性を示した。また、新規化合物であるシトシン環が縮環した誘導体の合成に成功し、結晶構造解析からこの化合物が形成する相補的水素結合並びにそれにより構築される集合構造を明らかにした。次年度は、これを用いた電荷移動錯体やベタインラジカルの合成と物性について詳細に調べる予定である。 昨年度は、核酸塩基の一つであるシトシンとTCNQ誘導体との電荷移動錯体の合成並びに物性について研究を行ったが、本年度は核酸塩基の中で最も高いドナー性を有するグアニンを用いた研究を行った。これまでに、溶解性の向上のためにアルキル基を導入した誘導体や、ドナー性を向上するためにジメチルアミノ基を導入した誘導体の合成を検討し、これに成功している。現在、これらを用いた電荷移動錯体の作製について検討を行っている。
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Research Products
(9 results)