2005 Fiscal Year Annual Research Report
4量体H/K-ATPaseの構造機能連関〜4量体構造の生理的意義の解明〜
Project/Area Number |
05J01307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 一啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | H / K-ATPase / 二次元結晶 / 極低温電子顕微鏡 / P-type ATPase |
Research Abstract |
豚胃より大量にH/K-ATPaseを精製し、得られた精製膜標品を用いて、2次元結晶の作成を試みました。 界面活性剤としてn-octyl glucosideを用い、ATP等の基質を共存させることで、酵素活性を保持した状態での可溶化に成功しました。この可溶化標品を用いて透析法による二次元結晶の作成を行ったところ、pH4付近でチューブ状の二次元結晶が得られました。この条件においては、基質は特に添加されておらず、酵素はH^+を結合したE1状態にあると考えられます。得られた結晶の酢酸ウランによる負染色の投影像から、p2の対称性を持ち、ユニットセルがa=128.88Å,b=112.36Å,γ=90°、1つのユニットセルに4っのαβ-protomerを含むことが推定されました。 さらに、透析外液に基質アナログであるAl^<3+>,F^-,ADPを含む条件でも結晶が生成しました。この条件下で、酵素はATP結合〜EP形成の遷移状態であるE1PADP状態にあると推定されます。これらの結晶は基質非存在下での結晶とは異なる結晶系を与え(p22_12_1,a=127.23Å,b=112.11Å,γ=90°)異なる構造をとっていることが示唆されました。比較的生理的条件に近い、脂質二分子膜中での結晶化であるので、今回示した2つの中間体の他にも、基質や阻害剤の添加によって、別の反応中間体の構造を明らかにできる可能性があります。 極低温電子顕微鏡によって撮影されたこれらの結晶から、分解能が約10Åの投影図を得ることに成功しました。これによって、明らかにされていなかったβ-subunitのα-subunitとの位置関係を推定することが出来ました。
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Research Products
(2 results)