2007 Fiscal Year Annual Research Report
4量体H/K-ATPaseの構造機能連関〜4量体構造の生理的意義の解明〜
Project/Area Number |
05J01307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 一啓 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | H / K-ATPase / 二次元結晶 / 極低温電子顕微鏡 / P-type ATPase |
Research Abstract |
豚胃より精製したH^+,K^+-ATPaseを用いて二次元結晶を作成し、極低温電子顕微鏡による構造解析を行った。幾つかの異なる反応中間体での結晶を得ることに成功し、このうち二つの状態(E1,E1P-ADP)での構造を比較した。トリプシン限定消化による構造の類推と合わせて、これまでP型ATPaseで考えられていた、細胞質ドメインの大きな構造変化は、H^+,K^+-ATPaseにおいては起こらないことを示した。この結果は雑誌論文に掲載予定である(Nishiawa,T., et. al.2008 J.Struct.Biol., in press)。また、E2P状態での構造に関して、8Å分解能での立体構造解析に成功した。この構造から、αβサブユニットの相互作用や、阻害剤が結合すると考えられるキャビティーの存在を見出した。特にβサブユニットとαサブユニットの相互作用はE2P状態を安定化させるのに寄与しており、長年の疑問であったH^+,K^+-ATPaseの強いE2P嗜好性を説明する相互作用であると考えられる。このことは、H^+,K^+-ATPaseのイオン輸送サイクルにおける逆反応が進行しにくいことを示しており、このイオンポンプが作り出す真核生物で最大の濃度勾配(100万倍以上)を達成するための逆止弁としての働きがあると考えられる。変異体の解析結果と合わせて、現在論文準備中である。以上本研究によって、H^+,K^+-ATPaseが分子内に備えるH^+逆流防止の為の構造基盤を示すことができた。
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Research Products
(3 results)