2006 Fiscal Year Annual Research Report
なわばり性藻食魚とその食藻との相利共生:魚類による裁培の起源と進化
Project/Area Number |
05J01360
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 啓生 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 絶対栽培共生 / スズメダイ / イトグサ / サンゴ礁 / シクリッド / タンガニイカ湖 / 藻食魚 / なわばり |
Research Abstract |
水圏生態系において、藻食性なわばり魚と藻類との間に見つかった栽培共生系について、その起源と進化を明らかにするために研究をいった。 野外観察と、分子データと形態情報を合わせ用いた藻類の正確な分類により、サンゴ礁のクロソラスズメダイとその藻園で手厚く保護されるイトグサsp.とは、互いに違いの生存を依存する絶対栽培共生の関係にあることが分かった。これは植物と植食者との間に、ヒトと栽培植物との関係に次いで発見された絶対栽培共生の報告となる。この絶対栽培共生関係をBiology Letters誌に論文として発表したところ、Nature誌のResearch Highlights項で"Fish farmers"として取り上げられ、また藻類を栽培するスズメダイとして読売新聞、しんぶん赤旗等、雑誌子供の科学等で広く一般にも紹介された。 オーストラリア、グレー牡馬リアリーフと、パナマ共和国で東太平洋岸とカリブ海岸において、なわばり性スズメダイ類の観察と、その藻園からの藻類の採集を行い、得られた藻類について分子系統解析を行い、また平成17年にインド-太平洋を広く訪ねて得た藻類の資料の解析も行い、現在、広くインド-太平洋と、東太平洋、そしてカリブ海における栽培共生系の実態を明らかにしつつある。 さらに平成17年に訪れたアフリカンタンガニイカ湖のなわばり性シクリッド、Neolamprologus mooriiにについて、その藻類管理について研究をすすめ、N. mooriiの卵や稚魚を食べないことでその藻園への侵入を許され、藻園内に豊富な底生動物を好んで利用しているシクリッド類がいることを報告した。
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Research Products
(5 results)