2006 Fiscal Year Annual Research Report
腸癌転移に関わる新規遺伝子の同定、役割の解析、腸自然発癌・転移モデルマウスの作出
Project/Area Number |
05J01368
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園下 将大 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | metastasis / colon cancer / invasion / Colon26 |
Research Abstract |
昨年度、Colon26親株に比べてリンパ節高転移性株・肝臓高転移性株でAes遺伝子の発現が変化していることをcDNAマイクロアレイの実験により見出した。このことを踏まえ、今年度は転移におけるAes遺伝子の役割についての解析を行った。 Aes遺伝子を安定的に発現するColon26細胞を作成、コントロールと比較したところ、in vitroの浸潤能を有意に抑制することが分かった。一方、細胞増殖については優位な差を認めなかった。ドキソサイクリン制御性にAes遺伝子を発現するColon26細胞を樹立し解析を行なっても同様の結果が得られた。また、in vivoでの転移能に対しての影響を調べるために尾静脈接種による肺転移モデル、直腸接種による同所性肺・肝臓転移モデルを用いての実験により、Aes遺伝子は生体でのがん細胞の転移能も有意に抑制することが分かった。さらに、非常に転移能が高いHCA-7ヒト大腸癌細胞株の転移能も有意に抑制したことにより、Aes遺伝子は普遍的に癌転移抑制遺伝子として働くことが示唆された。 次に、より詳細にヒト癌手ににおけるAes遺伝子の役割を検討するため、抗Aes抗体を作製した。ウエスタンブロッティングにより、過剰発現及び内在性のAesタンパク質を検出できることが分かった。この抗体を用いてヒト大腸癌臨床サンプルの組織戦傷を行ったところ、同一患者の原発巣に比べて転移巣でAesタンパクの発現低下が半数以上で観察された。これらの実験結果より、Aes遺伝子が何らかの原因で発現低下することによりヒト大腸癌の転移が促される可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)