2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソームを介する発癌メカニズムの解明と癌治療の開発
Project/Area Number |
05J01384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 俊治 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンキリン / 蛋白質分解 / 癌 / 肝臓 / プロテアソーム |
Research Abstract |
本研究では、ガンキリン、プロテアソーム、MAGE-A4の三者に注目し、肝発癌メカニズムの解明と新たな癌治療法の開発を目的とした。ガンキリンはヒト肝細胞癌で高発現する分子として同定された癌遺伝子で、その遺伝子産物は癌抑制蛋白Rbのリン酸化、分解を促進することで細胞を癌化させる(Higashitsuji, et. al.,2000)。また26SプロテアソームのサブユニットやMdm2と結合することで、癌抑制蛋白p53のユビキチン化とプロテアソームによる分解を促進する(Higashitsuji, et. al.,2005)。一方、MAGE-A4はガンキリンと結合し、その癌化能を抑制する。これはMAGE-A4がプロテアソームにより切断され、生成されたC端断片がMyc-interacting Zn finger protein(Miz)-1と結合し、p53依存性および非依存性にアポトーシスを誘導することによると考えられる(Sakurai, et. al.,2004)。最近マウスを使った実験により、肝発癌初期におけるNF-kappaBの役割が明らかになってきた。肝細胞特異的にNF-kappaBの活性を抑制すると、活性酸素(ROS)の蓄積が亢進し、蓄積されたROSがmitogenactivated protein kinase (MAPK) phosphataseを抑制することで、c-Jun N-teminal kinase(JNK)活性が亢進し、肝発癌が増強される。我々は、ガンキリンがNF-kappaBと直接結合し、その活性を抑制することを見出した(Higashitsuji, et. al.,2007)。ガンキリンは肝発癌過程のごく初期より肝細胞で発現が増強することから、ガンキリンが肝発癌の初期において重要であることが示唆された。現在、ガンキリン、MAGE-A4と複合体を形成する物質の同定を進めている。
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Research Products
(3 results)