2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物酵素・細胞システムによる植物性アルカロイド生産
Project/Area Number |
05J01425
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 博道 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 2次代謝 / Coptis japonica / イソキノリンアルカロイド / ノルコクラウリン |
Research Abstract |
本研究は、微生物および植物の酵素を組み合わせて、医薬原料として広汎な利用があるイソキノリンアルカロイドの実用生産システムの構築と新規な構造を持つ化合物合成を行うことを目的としている。そこでまず、このシステムの鍵酵素であるノルコクラウリン合成酵素(NCS)に関する酵素学的諸性質の解明を行なった。 オウレン培養細胞抽出液におけるNCSの機能解析を行った結果、NCS反応におけるFe2+の必要性が明らかとなった。また、キラルカラムを用いた解析により、本酵素は(S)-ノルコクラウリンを選択的に生成することが示された。本酵素は、4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドだけでなく、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒドとフェニルアセトアルデヒドも基質とした。さらに、培養細胞抽出液に対してゲルろ過を行い、各フラクションをNCS抗体を用いてウェスタンブロッティング解析した結果、組み換えNCSが単量体であったのに対して、培養細胞におけるNCSは複合体を形成していた。すなわち、複合体形成がNCS活性に重要な役割を持つことが示唆された。 ドーパミンを出発物質としたレチクリン合成を大腸菌内で行なうことを目的として、植物(Coptis japonica)由来の生合成酵素、NCS、6-O-methyltransferase、3'hydroxy N-methylcoclaurine 4'-O-methyltransferase、coclaurine N-methyltransferaseおよび微生物(Micrococcus luteus)由来のmonoamine oxidaseを発現ベクターに導入し、全酵素の発現株を構築した。培地中にドーパミンを添加し、大腸菌におけるレチクリン合成を行なった結果、(S)-レチクリンが培地中に生成することを確認した。
|