2005 Fiscal Year Annual Research Report
チューリング機構の非平衡生物物理:魚類体表での縞・ラビリンス・斑点とそれらの共存
Project/Area Number |
05J01440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
昌子 浩登 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非平衡系 / チューリング不安定性 / 3次元パターン / Gyroid構造 / ネットワーク構造 / 自己組織化 / 迷路状縞模様 / 熱帯魚体表模様 |
Research Abstract |
生命現象では、生体膜のようなミクロなスケールから、魚の体表模様のようなマクロなスケールまで、周期的構造が自発的に形成される。また形成されるパターンには重要な生物学的機能、意義を含んでいる。このような生命現象に見られる周期パターンの解析は、非平衡物理学における主要なテーマの1つであるだけでなく、他分野にわたり重要なテーマとなっている。そのような中、下の問題に取り組んできた。 [1]3次元特有のチューリングパターン 空間的に一様な系から、要素の相互作用と拡散によって周期的な構造が自発的に現れるチューリング不安定性が知られている。これまで1,2次元でのこのシステムの振舞いが詳細に解析され、生物のみならずさまざまな現象の自己組織化メカニズムの説明に用いられてきた。しかし、空間的に全く性質の違う3次元での挙動は全く研究されていない。我々は、2次元パターンから類推できる3次元構造に加え、3次元特有の構造(極小曲面を持つ構造(Gyroid)や、その他のネットワーク構造(Fddd,PL))が自発的に形成されるメカニズムを、世界に先駆けて明らかにした。生体のような非平衡系での生体内反応制御の理解につながる重要な一歩になると考えている。 [2]魚類体表模様から考察する2次元チューリングパターンの解析: ある熱帯魚の縞の本数は、成長とともに増加する。このことから、魚の体表模様制御には、チューリング不安定性機構が働いていると示唆されている(名大、近藤教授ら)。この仮定に立つと、これまでの解析では解明できない魚の体表模様機構がいくつかあり、特に下の3点について数理的に明らかにしてきた。魚の縞模様には、平行にそろった縞と、迷路状の縞がある。波数の性質を考えることで、解析的にどちらの縞が形成されるかを分類した。
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Research Products
(4 results)