2005 Fiscal Year Annual Research Report
批判的思考遂行プロセスの解明および教育支援プログラムの開発
Project/Area Number |
05J01522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平山 るみ 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 批判的思考 / 態度 / 能力 / 信念 / バイアス |
Research Abstract |
1.批判的思考遂行プロセスの解明:事前に持つ信念と一致する情報,および,信念と不一致な情報に基づき,結論を導出する際の情報探索過程について検討した。 (1)オンラインでの行動指標による測定:情報探索の指標として,情報参照時間および情報参照回数をオンラインで測定し,情報評価については各情報の重要性評価をオフラインで測定した。また,批判的思考態度や能力が,それらにどのように関わっているかについて検討した。その結果,情報参照時間については,批判的思考能力の高い者は,事前信念と不一致な情報をより長く参照することが明らかとなった。参照回数については,批判的思考態度および能力などによる差はみられなかった。情報の重要性の評価については,信念と不一致な情報の重要性の評価と,信念と一致した情報の参照時間との間に,負の相関がみられた。そして,適切な結論の導出にたいしては,情報参照時間や回数は影響しておらず,批判的思考態度の「探究心」が正の影響を,また,事前信念が負の影響を与える傾向がみられた。 (2)言語報告による結論導出に関わる要因の検討:適切な結論の導出に関わる要因を検討するため,導出した結論の理由に関する自由記述の内容を検討した。適切な結論を導出したものの多くが,疫学的・科学的情報の見方に関して客観的に言及していた。科学的データの見方に関する知識を持っている,または情報から読み取ることができるということが,適切な結論の導出に関わっていることが示唆された。
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