2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和足 憲明 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地方財政赤字 / アメリカ:日本:イギリス |
Research Abstract |
研究目的は、なぜ日本の地方財政赤字が大きいのかを、分析することである。1.日米英三ヶ国の比較を行う。2.分析期間を1975〜2000年とし、長期的視野から分析を行う。3.地方自治担当省庁と財政担当省庁に着目することでアクターを明示的に設定する。地方自治担当省庁の組織目標は「地方利益の擁護」であり、財政担当省庁の組織目標は「国家財政の健全化」である。財政担当省庁は地方財政に対して冷淡である。分析枠組みとして、「参加の制度」と「選択肢の制度」を採用する。「参加の制度」とは「誰が決定に参加できるかに関する公式のルール」であり、「選択肢の制度」とは「問題解決のために採択しうる選択肢の範囲を規定する公式のルール」である。本研究の解答は、日本では自治省が地方財政計画・地方債計画の独占的策定権限を持つため、地方政府+自治省の参加の制度となること、選択肢の制度として地方債発行の制度と地方債引受の制度に着目すれば、地方債の発行に関して、日本では、建設地方債の発行が許されており、また、赤字地方債も発行可能であり、緩い制度となっていること、地方債の引き受けに関して、日本では、政府資金が中心であること、である。研究目的は、なぜ日本の地方財政赤字が大きいのかを、分析することである。地方財政赤字に関するデータを収集し、従属変数の固定化を行った。日本、アメリカ、イギリスの地方自治・地方財政に関する文献を収集・整理し、各国の特徴を明らかにした。また、合理的選択理論や構造的制度論、拒否点に関する理論の文献を収集し・整理し、分析枠組みの精緻化を行った。さらに地方自治・地方財政の理論に関する文献も収集・整理し、制度と帰結を結ぶ論理の構築を進めた。地方財政赤字分析のための枠組みができた。
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