2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01534
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 真行 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 消費行動 / 環境評価 / 信頼 / 情報過負荷 / 情報政策 / 廃棄物 / 離散選択モデル / 負の二項回帰モデル |
Research Abstract |
環境の価値とその測定手法、およびそうした環境評価論に基づく循環型社会構築のための社会経済政策に関する研究を行った。そこでは、第一に、環境価値を余剰評価によって測定する手法の研究を行い、第二に、余剰を規定する人間の消費行動を環境対応型に誘導するための社会経済システムについて、情報提供制度や情報政策を中心に分析した。 前者は、情報認知や情報処理の過程を分析枠組みに含めるかたちで消費行動モデルを定式化することにより、分析対象を非合理的な行動にまで拡大したという点で、従来の経済学的環境評価手法を発展させた理論的方法論的成果である。具体的には、環境情報の信頼性といった質的側面について、離散選択モデルと負の二項回帰モデルを併用したモデルを定式化し、情報への信頼が醸成されていく過程および消費行動としての帰結について分析した。その結果、自己の取引経験が信頼を増強させていくことを観察した。また、情報の量的側面について、スケールパラメタや情報エントロピー指標の観察により、過剰な情報に直面した場合に発生する情報過負荷が消費行動に及ぼす影響と、情報過負荷を抑制する要因の特定に関する研究を行った。その結果、知識と関与という2つの抑制要因が析出された。同時に、消費行動分析に基づく環境評価手法の不安定性の原因と合わせて議論した。 後者については、環境政策や制度設計の有効性に関して、人間の認識・評価結果と現実の経済的行動との関連から評価を試みた。とりわけ、廃棄物問題と消費行動様式との調和に向けた実践的政策論的研究を行った。前者の研究成果と総合し、環境問題に対する情報政策的解決の有効性と限界に関する研究を行った。そこにおいては、独自のサーベイ調査を行い、上述計量モデルによるデータ解析を通じて現実的で有効な政策をデザインした。
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Research Products
(5 results)