2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01537
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 祐司 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 正社員 / 非正社員 / 雇用形態 / 就職 |
Research Abstract |
前期は、非正社員の正社員への登用について検討した。企業外からの正社員採用ではアナログ情報の利用は困難であり、通常、デジタル情報を利用して採用せざるをえない。それに対して、企業内からの登用では個人の情意や有する技能などのアナログ情報が頻繁に利用されることを明らかにした。もっとも、企業を取り巻く環境、登用までに要した期間、登用対象となった個人のプロフィールが変化することで、登用時に企業が用いる評価項目も変化しうる。正社員登用を実施する企業では、正社員と非正社員という雇用形態の差異が、アナログ情報としてしか把握できない能力の有無の壁として機能する可能性がある。また、アナログ情報が精査されることから、登用の機会を利用して正社員職をねらう者は自己の職業能力を向上させておく必要がる。非正社員にとってのエンプロイヤビリティが重要になると考えられる(京都大学モノグラフシリーズとしてまとめ、社会政策学会第111回大会にて口頭発表した)。 後期は、非正社員としてではなく、新規学卒者を正社員として就職させるために必要な制度・政策を考えるために、京都府下の大学就職部に対する聞き取り調査を実施した。グラノベターの古典的研究を嚆矢として、就職・転職に対する個人的ネットワークへの影響について従来検討されてきたが、近年、制度的ネットワークに注目するアプローチが欧米を中心になされている。大学就職部が企業と学生をつなぐ結節点として位置づけられることはいうまでもない。調査結果から、制度的ネットワークの結節点として、大学就職部が学生の就職に適切に関与する大学で、就職パフォーマンスが優れていることが明らかになった(社会政策学会第68回関西部会にて中間的な結果を報告)。大学進学率が高まり、大卒者が一部のエリートではなくなったいま、学校から職業への円滑な移行に大学就職部が果たしうる役割はますます大きくなると思われる。
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Research Products
(1 results)