2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01600
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 邦彦 京都大学, 大学院・理学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共形場理論 / 頂点作用素 / 無限次元リー環 / ハイゼンベルグ代数 / ビラソロ代数 / テータ関数 |
Research Abstract |
共形場理論は点付リーマン面に対して、ある種の不変性を持った有限次元ベクトル空間を構成する理論である。このベクトル空間のことを共形ブロックと呼んでいる。共形場理論の中でWZW模型と呼ばれる理論は、有限次元単純リー代数のループ代数の中心拡大として得られる無限次元リー代数の既約最高ウエイト表現論と深く関わっている。特に可換リー代数のループ代数を中心拡大すればハイゼンベルグ代数と呼ばれる無限次元リー代数が得られるが、この代数を部分代数として含むような格子頂点作用素代数と呼ばれる。場からなる代数系を構成できる。この代数の表現論を用いて構成される共形場理論をアーベル的理論と呼ぶ。前述のハイゼンベルグ代数の既約最高ウエイト表現にはレベルと呼ばれる整数を定める必要があるが、このレベルにより理論は大きく影響を受ける。共形ブロックは相関関数と呼ばれる、多度数の多重微分型式により表されるが、真空期待値については具体的に求めることができ、その結果アーベル共形ブロックとテータ関数の空間との同型を示すことができた。ハイゼンベルグ代数のレベルが1の場合はbc系と呼ばれる共形場理論が構成できるのだが、レベルが2の場合は、2次特殊線型リー環でレベルを1としたWZW模型が得られることを示した。つまりこのレベルにおいては2次特殊線型リー環のループ代数の中心拡大と、特殊線型リー環のカルタン部分代数から構成される格子頂点作用素代数とが一致することがわかる。しかし、レベルが大きくなれば両者は異なる代数系となってしまう。そこで、一般のレベルに対しては両者の間に準同型を構成することを考え、その結果として得られる共形ブロックの間の写像を考察し、WZW模型をアーベル化することを考えている。
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