2005 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴を用いた遍歴電子系酸化物の磁気ゆらぎ・磁気量子臨界現象の研究
Project/Area Number |
05J01615
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 健太郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ルテニウム酸化物 / 核磁気共鳴 / NMR / 量子臨界現象 / 量子臨界点 / QCP / メタ磁性 |
Research Abstract |
絶対零度でおこる相転移である量子相転移、その近傍にある量子臨界領域での振る舞いを研究している。ペロブスカイト型ルテニウム遍歴酸化物Sr_3Ru_2O_7のメタ磁性1次転移において、系を支配している磁気ゆらぎから新しい量子臨界現象であるメタ磁性量子臨海現象を解明することを目的とする。 Sr_3Ru_2O_7の酸素サイトを核スピンを持つ170で置換した試料を用い、核磁気共鳴(NMR)を用いて量子臨界点に近いc軸方向に磁場を印可したときの磁気状態を0.3Kの極低温まで調べた。NMRシフトとスピン格子緩和時間T1の関係から、高温では2次元的な強磁性的ゆらぎが支配的である事、メタ磁性に近づくに従い電子有効質量が発散していく事、メタ磁性磁場において1/T1Tが絶対零度に向って発散する事、量子臨界点付近での支配的なゆらぎが反強磁性的である事を明らかにした(Physical Review Letters誌、95号127001頁2005年)。 さらに、NMRの信号/雑音比(SN比)を大幅に改善する事を目的とし、技術開発を行った。物性研究のNMRに最適な、HF帯の広帯域かつ低回復時間の前置増幅器を、格子整合型高電子伝導度トランジスタを液体窒素温度に冷却する事により実現した。当分野において一般的に使用されている、等価熱雑音温度100K以上の前置増幅器にくらべ、30Kと大幅に改善することに成功した。これにより従来の1/3の測定時間で実験が可能である。
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Research Products
(3 results)