2005 Fiscal Year Annual Research Report
全天探査用広視野MeVガンマ線カメラの開発及び気球観測による天体観測実証試験
Project/Area Number |
05J01635
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 淳史 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 放射線検出器 / ガンマ線天文学 |
Research Abstract |
広視野コンプトンカメラの特徴である、電子飛跡検出器の性能向上の為、マイクロピクセルチェンバ(μ-PIC)の前段にガス電子増幅器(GEM)を導入した。これにより、これまで30%程度であった最小電離荷電粒子(MIP)の検出効率が、99%にまで増加した。また、散乱ガンマ線吸収体として用いるシンチレーション検出器も、ピクセル化して有効面積を広げたものに換え、電子飛跡検出器の周囲を取り囲むように底面と側面の5面に設置した。これらの改良後、広視野コンプトンカメラを構築し動作試験を行うことで、入射ガンマ線のエネルギーと到来方向の両方を同時に再構成できることを確認し、15°程離したエネルギーの異なる2つのガンマ線源を分光・位置の両方から区別することができることも確認した。また、この検出器の特徴である視野の広さについても、現状で1strあることを実証した。 これらと同時に、気球実験に向けた本格的な準備も進めた。検出効率を少しでも上げるべく、電子飛跡検出器のガスを選定し、MIPの飛跡が十分に捕らえられることを確認した。また、気球搭載型の検出器の設計とデータ収集システムの構築を行い、それを搭載するゴンドラの設計も行った。また、気球に搭載する為の省電力且つコンパクトな回路の開発も行った。これらを全てかみ合わせ、ガンマ線線源のイメージとエネルギースペクトルの取得に成功している。さらに、システム全体を宇宙科学研本部に持ち込み、真空恒温槽で気球実験環境下における熱試験を行い、システムが気球環境に耐えられることを確認した。さらに、この検出器がどの程度の性能を持つのかをgeant4を用いたシミュレーションにより見積もりを進めている。
|
Research Products
(1 results)