2005 Fiscal Year Annual Research Report
偏極陽子陽子衝突によって生成される重クォークを用いた偏極グルーオン構造関数の決定
Project/Area Number |
05J01636
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
外川 学 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重クォーク / グルーオン偏極構造関数 / 偏極陽子ビーム / 非対称度 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
米国ブルックヘブン国立研究所で行なわれている、偏極陽子陽子衝突実験に参加し、偏極グルーオン構造関数決定のため、以下の実績をあげた。 1、重クォークに伴う単電子の生成断面積測定。 RHICで行なわれている偏極陽子衝突実験の主な目的の一つは、陽子中のグルーオン偏極構造関数の決定である。重クォークはRHICエネルギーで主にグルーオン融合で生成され、グルーオンの特性を抽出するのに良いプローブとなる。本研究では重クォークを含んだ中間子の崩壊粒子である、単電子の測定を行っている。グルーオン偏極構造関数の抽出は、pQCDモデル枠内で可能であるが、グルーオン融合における重クォーク生成の理論的不定性が大きいため、生成断面積を実験側から精度良く測定することは非常に重要である。生成断面積を測定し、現在最も良く記述する理論モデルより2.5倍ほど大きい結果を得た。(研究成果欄1項目) 2、衝突時における陽子の偏極方法測定。 RHICでのグルーオン構造関数の決定には、衝突時に陽子が縦偏極していることが必要不可欠である。2005年中のランを通して、どの程度縦偏極しているか測定を行なった。結果はそれぞれの陽子ビームで、99.5±0.01%、98.9±0.02%と、ほぼ縦偏極であることを非常に精度良く測定した。(研究結果欄2項目) 3、前方中性子の断面積、横偏極非対称度の測定。 2の測定は、偏極陽子衝突に伴い超前方(±2.8mrad)に生成する中性子の、横偏極非対称度を測定することで行なっている。この非対称度は我々がRHICのテスト実験で発見したものであるが、その生成メカニズムは完全に理解されていない。物理的に非常に興味深く、縦偏極測定の更なる精度向上のためにも理解が重要である。その第一歩として、生成断面積、非対称度を測定し、今年度の日本物理学会で報告を行なった。
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Research Products
(2 results)