2006 Fiscal Year Annual Research Report
中間子反応を用いたペンタクォークΘ+の生成および幅に関する研究
Project/Area Number |
05J01640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三輪 浩司 東北大学, 大学院理学研究科, 助手
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Keywords | pentaquark / exotic 粒子 / ハドロン反応 |
Research Abstract |
Spring-8においてストレンジネス+1を含むバリオンΘ+が初めて報告された。このバリオンはそのクォーク構成要素が4つのquarkと1つのanti-quarkからなるエキゾチックな粒子であるとして非常に注目を集めている。しかし、その存在を否定するような実験結果も報告されており、存在に関しては混沌としてきている。そこで、様々な反応を用いて、Θ+を探索し、その生成メカニズムを調べることが非常に重要である。 我々はKEK-PSにて(1)π-p→K-Θ+反応および(2)K+p→π+Θ+反応の2つの反応について実験的な探索を行った。 まず(1)の反応については、すでに昨年度結果をまとめ投稿論文として発表している。この解析から質量にして1.53GeVに統計的有意度が2.7σのbumpを確認した。これはΘ+の候補と言えるが有意度がそれほど高くなかったため生成断面積の上限値を求めた。この反応を用いたΘ+の生成断面積の90% confidence levelの上限値としてビーム運動量が1.87GeV/cのときに1.8μb、1.92GeV/cのときに3.9μbという結果を得た。 また(2)の反応についてはKEK-PS K6ビームラインにて、SKSスペクトロメーターを用いて、K+p→π+X反応のmissing mass分布からΘ+を探索した。SKSを用いることによって2.4MeV/c^2という非常に優れた質量分解能で実験が可能であるというのが本研究の特徴である。結果として、missing mass分布からΘ+に対応するようなピークは確認できなかった。これから前方方向(2度から22度)での微分断面積の上限値として3.5μb/srと求まった。K+p→π+Θ+の生成プロセスとしてK^<0*>を交換するt-channelプロセスとNを中間状態とするu-channelがある。理論計算と比較するともしt-channelが存在すれば、断面積はわれわれの上限値よりもはるかに大きな値となり、本実験からt-channelプロセスは存在しないのではないかと結論づけた。U-channelのプロセスが主要であれば、後方にπ+が生成される確率が高くなり、われわれの実験では十分なsensitivityが得られていない。現在ほぼ解析も終了し、その結果を投稿すべく現在まとめているところである。
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