2005 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論におけるモジュライ場の現象論的、宇宙論的側面の研究
Project/Area Number |
05J01643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桧垣 徹太郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 弦理論的現象論 / 超対称性の破れ / モジュライの安定化 / 弦理論的宇宙論 |
Research Abstract |
超弦理論は、標準模型を越えて我々の世界の相互作用を統一的に理解できる理論であるが、問題が残されている。それは摂動論的には真空が無数に縮退しており、実験結果を無矛盾に再現するような現実的な弦模型は得られていないことである。しかし、これは非摂動論的な効果によって真空の縮退が解けると思われる。この縮退した真空の連続的自由度はモジュライ場の期待値の自由度に対応する。私は、非摂動効果を通じたモジュライ場の期待値決定機構に注目し、この課題に取り組んでいる。特にモジュライ場の期待値自身は結合定数と関係しており、モジュライ場のダイナミクスは現象論的にも重要である。今年度はまず、交差したD-brane模型における湯川結合定数について調べた。その結果、標準模型から最小限に拡張した模型では、摂動論的には現実的な結合定数を得るのが難しいことがわかった。次にKachru-Kallosh-Linde-Trivedi(KKLT)が提唱した模型(フラックスコンパクト化+D-brane上の非摂動効果+露に超対称性を破る源の存在を仮定した模型)で、磁場の入ったD-braneを導入した。そのD-brane上の非摂動効果でモジュライ場の期待値が決まると仮定すれば、非常に特徴的な超対称粒子の質量スペクトラムが、低エネルギーで得られる可能性を示唆した。この事は将来の実験、特にLarge Hadron Colliderで検証することが可能である。次に2つのモジュライ場が存在することを仮定した場合、上記のKKLT模型ではどのような超対称粒子の質量スペクトラムが得られるか調べた。この場合は、スカラーフェルミオンの質量がゲージーノよりも重くなりうることがわかった。
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Research Products
(2 results)