2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01647
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 善典 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / 非臨界弦 / AdS / CFT対応 |
Research Abstract |
超弦理論は重力を含め、全ての相互作用を統一する理論として期待されている。しかし、現時点では超弦理論は摂動論的にしか定式化されておらず、正しい理論の真空の構造を知ることができない。このため、超弦理論を用いて現実世界の物理を記述するためには、非摂動論的な定式化が必要になる。 超弦理論の非摂動論的な定式化の方法として、行列模型を用いた構成的定式化の方法が考えられている。特に、簡単化された弦理論である非臨界弦の場合においては、行列模型を用いた定式化の方法が知られており、非摂動論的な解析が可能になっている。 この非臨界弦の場合の定式化の方法を、超弦理論に拡張する手法として、AdS/CFT対応が利用できると考えられる。AdS/CFT対応は、AdS時空上の超弦理論とN=4の超対称ゲージ理論が対応するという理論であり、非臨界弦における弦理論と行列模型の対応に非常によく似た性質を持っている。そこで我々は、非臨界弦の場合の構成的定式化の手法の拡張として、AdS/CFT対応の成り立つ場合における行列模型を用いた定式化の可能性を模索した。 我々はまず、超弦理論のAdS/CFT対応に拡張する第一歩として、AdS/CFT対応の非臨界弦版の対応を考えた。弦理論には典型的な非摂動効果としてD-braneが存在する。AdS/CFT対応はこのD-braneの性質が大きくかかわっている。我々はAdS/CFT対応をD-braneが存在する背景上の弦理論とD-brane上の有効理論の対応とみなし、非臨界弦においてこの2つの対応がどのように成り立っているかを調べた。近年の研究で非臨界弦におけるD-braneの振る舞いが明らかになりつつある。これらの性質を用いて非臨界弦における弦理論とD-brane有効理論の対応を調べた結果、D-braneの数が十分大きい極限においてはこのような対応が成り立つことがわかった。
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Research Products
(1 results)