2005 Fiscal Year Annual Research Report
洪水イベント堆積物"ハイパーピクナイト"の認定基準の確立
Project/Area Number |
05J01656
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 有 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハイパーピクナイト / ハイパーピクナル流 |
Research Abstract |
陸上洪水が起源の水底重力流,ハイパーピクナル流によって形成する堆積物ハイパーピクナイト固有の特徴を探るため,滋賀県の古琵琶湖層群と沖縄県の八重山層群西表層の野外調査,島根県宍道湖で採取したコア試料の解析,それに,堆積機構を検証するための室内実験を行った.古琵琶湖層群では構造運動の活発な琵琶湖西岸にある堅田累層のデルタ堆積物からハイパーピクナイトと考えられる砂層を記載した.粒度分析の結果,ハイパーピクナイトの一つの特徴であると考えられている級化様式を示すことが分かった.構造運動が比較的安定だった琵琶湖東岸の阿山累層でもハイパーピクナイト候補を見出しており,今後それらがハイパーピクナイトであることの立証と両累層間での比較を行っていく.西表層では陸棚以深の深海堆積物からハイパーピクナイトと考えられる砂層を見出し,その特徴について記載した.さらに,採取した試料を依頼して分析したところ,有機物がほとんど陸源のものからなることが分かり,洪水起源であることが支持される結果となった.斐伊川デルタのコア解析の結果,斐伊川のデルタフロントは平穏時に堆積する泥と,木片や葉片を含む洪水砂層だけからなることが分かった.洪水砂層にはハイパーピクナイトも含まれる.それら洪水堆積物全てについて細かく粒度分析を行い,それぞれの級化様式が供給源からの距離に依存することを見出した.実験は,ハイパーピクナイトの堆積においてハイパーピクナル流の内部波の影響が重要であると示唆されてきていることから,それを検証する目的で行った.そこでは,意図的に与えた温度差を観測することによりハイパーピクナル流を仮定した連続的な流れの中での濃度の時間変化を捉えることに成功した.さらにその変動の生成にとって,傾斜の消失のように流れを減速させる地形が重要である可能性が高いことが分かった.
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