2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプローブによる単一分子の電子特性評価およびその分子スケール素子構築への応用
Project/Area Number |
05J01700
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一井 崇 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非接触原子間力顕微鏡 / 探針振動エネルギー散逸 / ケルビンプローブ原子間力顕微鏡 / アルカンチオール系自己組織化単分子膜 / 分子識別 / 金属フタロシアニン薄膜 / サブ分子スケールコントラスト |
Research Abstract |
非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)は、導電性・絶縁性材料を問わず原子分解能観察を実現可能であることから、次世代のナノエレクトロニクスへの応用が期待されており、特に、一般に導電性に乏しい有機分子を電子素子の材料として用いる分子エレクトロニクスの研究においては、NC-AFMは欠かせないものとなりつつある。 本年度はまず、末端官能基の異なる2種類のアルカンチオール系分子を混合させた自己組織化単分子膜について、NC-AFMによる評価を行い、単一分子スケールでの分子種の識別に取り組んだ。その結果、表面形状測定において、分子の幾何学的形状の差からは説明できないコントラストが得られた。これにより、官能基の違いによるAFM探針-分子間相互作用力の差が、表面形状コントラストに大きな影響を与えることが明らかとなった。さらに、表面形状測定だけではなく、AFM探針の振動エネルギーの散逸量を測定することによっても、単一分子スケールで分子種の識別が可能であることを示した。このような表面形状測定以外の手法での分子識別に成功したことにより、表面形状測定のみでは困難な、多数の分子種が混在する表面における分子識別の実現が期待される。 また、導電性基板上に作成した金属フタロシアニン(MPc)薄膜の評価にも取り組んだ。その結果、表面形状測定および散逸量測定において、サブ分子スケールコントラストを取得し、MPc特有の四つ葉状の構造を直接可視化することに成功した。さらに、NC-AFMとケルビンプローブ原子間力顕微鏡(KFM)を組み合わせることで、分子分解能表面電位像の取得にも成功した。この結果より、KFMを用いることで、分子-金属界面もしくは分子本来が持つ電気双極子を単一分子レベルで検出できる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)