2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01756
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 渉 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブラックホール / 重力波 / 輻射反作用 |
Research Abstract |
私は、銀河中心の巨大ブラックホールに捕捉される星からの重力波を検出のために必要な、長時間観測に耐え得るテンプレート作成を目指し研究をしている。特にこのような系では、ブラックホール時空中を運動する質点の運動を輻射反作用の効果を含めて正確に記述する必要がある。この研究目標を達成するために立てた本年度の研究実施計画は以下のものであった。 1、球対称(シュバルツシルト)ブラックホール時空中を運動する質点の軌道を正確に記述する。 2、求めた軌道から理論波形を求め、高精度なテンプレートを作成する。 2に関しては、現在数値的なアプローチで研究中であるが、1に関しては大きな進展があった。具体的には次のとおりである。 1、断熱近似(長時間平均)を用いた回転(カー)ブラックホールで定数の時間変化の計算 反作用力を無視すると、軌道は3つの定数(エネルギー、各運動量、カーター定数)で特徴付けられる。我々は、輻射反作用によるこれらの定数への影響、即ち定数の時間変化を断熱近似の下で求めた。ここで用いた方法は、一般の軌道で用いることができ、今後の基本となる仕事である。 2、断熱近似を用いない球対称ブラックホールでの反作用力の計算 もちろん、断熱近似が不適切である場合がある。我々は、球対称ブラックホールでのスカラー電荷をもった質点に働く反作用力を、断熱近似を用いることなく求めた。今までは、特殊な軌道に対しての計算がなされているだけで、一般の軌道で求めたのは我々が初めてである。 3、球対称ブラックホール下での質点の断熱的軌道の進化 質点の位置まで特定するには、位相の情報が必要である。断熱的な定数の変化は、計算の初めから断熱近似を用いることが可能である。一方、断熱的な位相の変化は、振動部分も含めた反作用力の情報が必要である。我々は、反作用力の振動部分の効果も含めた断熱的軌道の進化を追った。
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Research Products
(2 results)