2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 優章 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポルフィリノイド / 環拡張ポルフィリン |
Research Abstract |
環拡張ポルフィリンの中でも、とりわけヘキサフィリンに関して研究を行った。機能拡張を展望する上で、基礎的な現象理解から着手し、マクロ環のローテーション運動があることを発見した。このローテーションの様子は、置換基の電子的性質や、立体障害などで変化し、これを工夫することで、分子全体のコンフォメーションを制御することが可能であることを見出した。例えば、副生成物として得られてくる位置異性体の生成を抑え、目的の異性体のみを選択的に得る、といったことが可能となった。これと平行して、これまでは導入不可能だった置換基の検討を行い、これを達成した。とくに、チエニル基や、エチニル基の導入に成功したことは、今後大いに発展にする可能性を示唆する。それに伴い、これまでに得られたものとは違うコンフォメーションを持ったものが合成された。それぞれが、全く異なる金属配位形態を示し、ヘキサフィリンの配位子としての有用性が飛躍的に高まった。また、我々のヘキサフィリンを出発原料として用いることで、これまで金属2核錯体の配位子として非常に有用であるが合成の難しいN-二重混乱ヘキサフィリンが容易に合成できることを発見した。一方で、ヘキサフィリンおよびその誘導体の非線形光学特性を調べた。2光子吸収断面積の値が、ポルフィリン縮環2量体に匹敵するほど高いことがわかった。将来的に、光線力学治療(フォトダイナミックセラピー、PDT)における光増感剤としての期待が持てる。
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