2005 Fiscal Year Annual Research Report
3連続不斉点構築法を鍵としたハリクロリンの全合成研究
Project/Area Number |
05J01786
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 康友 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 / リチウムエノラート / 不斉反応 / 共役付加 |
Research Abstract |
ハリクロリンは5つの不斉点を有する化合物であるが、そのうち3つの連続する不斉点を構築するのが本研究の中心課題である。昨年度は高ジアステレオ選択的な3連続不斉点の一挙構築に成功した。またハリクロリンの形式全合成も達成した。 プロピオン酸エステルのリチウムエノラートの環状不飽和エステルへの不斉共役付加、及びアリル化をワンポッドで行い、目的のジエステルを65%eeで単一のジアステレオマーとして得た。この反応では、キラルジエーテル配位子、リチウムエノラート及びリチウムアミドから成る三成分錯体を用いることが効率よく反応を進行させる鍵であった。3不斉点の相対配置は、2つのエステル基のうち1つをカルボン酸へ変換後、X線結晶構造解析を行った結果、望みの配置と一致した。また、キラルアミンを用いた光学分割により光学純品のカルボン酸とすることができた。これにCurtius転移を行いBocアミドとした後、残る1つのエステル基を還元しアルコールとし、次いでTBDPS基でアルコールを保護した。この段階でDanishefskyらが報告した合成中間体と一致し、7工程、33%収率にてハリクロリンの形式全合成を達成した。 上記化合物は旋光度が報告されていなかったため、絶対配置の決定のため更なる構造変換を行った。即ち、アリル基にヒドロホウ素化を行い、次いでiodoacrylateと鈴木カップリングして、文献既知の不飽和エステルへ変換した。旋光度の比較により、天然のハリクロリンとは逆の絶対配置であることが明らかとなった。
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