2005 Fiscal Year Annual Research Report
折り畳み研究からのフィードバックを用いた新規蛋白質のデザイン
Project/Area Number |
05J01808
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鵜澤 尊規 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質折り畳み / スケーリング則 / 高速溶液混合 / 回転半径 / H / D交換法 / ヘムオキシゲナーゼ / アポミオグロピン |
Research Abstract |
蛋白質をデザインするにあたって、まず一般的な折り畳みの機構を明らかとする必要がある。これまでの研究から、一般に蛋白質全体が折り畳み初期に収縮する傾向がみられたことから、初期収縮機構が高分子物理の理論で説明できる折り畳みの一般則ではないかと仮定した。高分子物理学においてホモポリマーの回転半径はモノマー数のべき乗に比例することが知られている。この関係を蛋白質の初期収縮状態において検討するために、独自の高速溶液混合装置を用いて、これまでに報告されている蛋白質よりはるかに大きなアミノ残基数を持つヘムオキシゲナーゼの折り畳み過程を観測し、初期収縮状態の回転半径を見積もった。ヘムオキシゲナーゼを含む7種の蛋白質の初期収縮状態の回転半径は、アミノ酸残基数の0.35乗に比例することが明らかとなり、貧溶媒中の収縮した高分子が持つとされる指数の1/3に非常に近かった。この結果は、蛋白質の折り畳み初期に観察される収縮運動が、高分子の一般的な性質によって説明されることを初めて示した実験データであり、「Journal of Molecular Biology」誌に掲載された。 次に、特定の蛋白質の初期収縮状態において、どのような相互作用、部分構造が構築されているのかを調べることが蛋白質デザインに知見を与えると考えた。残基レベルでの安定性を調べる方法としてH/D交換法がありScripps研究所のPeter Wright教授が折り畳み分野におけるH/D交換実験の権威であることから、平成17年6月13日から7月31日まで米国カリフォルニア州のScripps研究所において実験を行った。アポミオグロビンにおける初期収縮状態を独自の高速溶液混合装置を応用したH/D交換法で観察した結果、初期の収縮による疎水的な相互作用が二次構造を主に安定化していると考えられた。以上の結果は現在投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)