2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択的分子捕捉、輸送、および変換能を持つナノポーラス集積型錯体の創製
Project/Area Number |
05J01822
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀毛 悟史 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 集積型錯体 / 多孔性材料 / 化学吸着 / 固体NMR / 細孔内重合反応 / 高輝度X線 / 分子運動 / ゲスト選択性 |
Research Abstract |
本研究では、一貫してナノポーラス集積型金属錯体(以後多孔性錯体)の高度機能化、およびその応用を目的に進めている。特に配位子としてゲストと相互作用が可能な配位子を二種類以上骨格に組み込むことによって、配位力の差異を利用した設計性の高い骨格の構築を行ってきた。例えばカルボキシル基とスルフォネート基を併せ持つ配位子を用いると、二種類の金属イオンを取り込んだ多孔性錯体が合成でき、その細孔中の金属サイトは塩基的ゲストと特異的な吸着能をしめす。この合物は、合成的見地から多孔性物質の新たな構築の可能性を指し示す結果として、J.Am.Chem.Soc.誌に受理されている。 一方で細孔を反応場ととらえ、銅(II)の多孔性錯体の持つ細孔径と形状を用いスチレンを吸着させ、その重合反応を試みた。基質の細孔内での運動性を固体NMR法で定量的に観測し、運動性と反応性の相関を見出すことによって一次元細孔中での一本鎖ポリスチレンの合成に成功し、この結果はChem.Commun.誌のハイライトに選ばれている。その他にも様々な多孔性錯体の細孔の特性に着目し、選択的分子捕捉、変換能を見出すことによってこれまでどの物質でも実現不可能であった触媒反応や特異的吸着状態を実現している。その際、高輝度X線やNMR、熱的測定を駆使し、細孔内部でどのような反応や分子状態にあるのかをしっかりと同定できることが研究を行う上で重要な要素となっている。 このように、研究課題である選択的分子捕捉、輸送、および変換能を持つナノポーラス集積型金属錯体の創製に基づいた研究を推進しており、継続して多孔性錯体の新たな機能発現を合成・解析の両側面から継続してゆく予定である。
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Research Products
(3 results)