2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラルな有機ラジカル液晶の合成法の確立とその磁性と強誘電性に関する研究
Project/Area Number |
05J01839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊熊 直彦 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強誘電性液晶 / 常磁性液晶 / 有機ラジカル / キラルニトロキシド / 液晶の磁場配向 / 光学応答測定 / 電子スピン共鳴(EPR) / ジキラル液晶 |
Research Abstract |
今年度の研究ではまず、ラジカル液晶の前駆体となるキラルフェノール性ニトロキシドにおいて観察された、ラセミ化現象の定量化とメカニズムの考察を行った。その結果、分子会合が促進される条件下において、分子間で水素引き抜きが起こり、アキラルなキノイド開環体が生成するのが原因と判明した。 次に、分子骨格に(1)1つの安息香酸骨格、(2)2つの安息香酸骨格、(3)一つの安息香酸骨格とビフェニル骨格をそれぞれ有する三種類の分子の合成を行い、その液晶性の評価を行った。その結果、(2)と(3)は(1)より液晶相転移温度が高く、(2)についてはチルト角(キラルスメクチックC相における分子の傾き角)の増大が観察された。これらの化合物のSmC*相における強誘電性を評価したところ、(2)と(3)の自発分極は(1)より大きくなり、安息香酸基の分子双極子モーメントの増大と、ビフェニル基による分子コア間相互作用の増大がそれぞれ自発分極に寄与したと考えられる。(1)の光学応答時間を測定したところ、既存の常磁性強誘電性強誘電性液晶と比べ1/10〜1/50もの高速応答が観察され、有機ラジカルを使用することでより低粘性である常磁性強誘電性液晶が得られることが示された。 液晶分子の外部磁場に対する配向を推測するため、(1)のEPR測定とSQUID測定を行った。ラセミ体の液晶の場合、ネマチック相では分子が外部磁場に沿って配向し、スメクチックC相では分子の一部が外部磁場に対して垂直に配向したことを示唆した。これに対しSS体の液晶では、分子の螺旋のため配向が均一化していることを示唆した。
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Research Products
(6 results)