2006 Fiscal Year Annual Research Report
キラルな有機ラジカル液晶の合成法の確立とその磁性と強誘電性に関する研究
Project/Area Number |
05J01839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊熊 直彦 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 強誘電性液晶 / 常磁性液晶 / マルチフェロイク材料 / ニトロキシドラジカル / 電子スピン共鳴 / ジキラル液晶 / 液晶の磁場配向 / 光異性化液晶 |
Research Abstract |
1)常磁性液晶の物性評価 常磁性液晶は分子の磁場配向や電気的性質との協働作用(磁気電気効果)の点で期待されている。しかし、従来の研究は金属錯体液晶を使用する場合が多いため、それらの高粘性のため外場応答が鈍いという欠点があった。私は、低粘性かつ高速な電場応答性を期待し、強誘電性を発現しうるキラルな有機ラジカル液晶の合成に成功し、それらのラセミ体においてネマチック(N)液相、スメクチックC(SmC)液晶相、SS体においてキラルネマチック(N^*)液晶相、キラルスメクチックC(SmC^*)液晶相の発現をそれぞれ観察した。SmC^*相において交流電場を印加したところ、20nC程度の自発分極とマイクロ秒オーダーの高速電場応答が観察された。これは、有機ラジカル液晶で強誘電性を発現した初めての例である。さらに、前述の4つの液晶相でそれぞれ磁化率測定とEPR測定を行い、外部磁場中で液晶の分子がどのように配向しているかを考察した。 2)光異性化能を持つドーパントの合成 液晶系に光異性化能を持つ分子を添加することで、光で液晶の物性(液晶相、誘電率、螺旋ピッチ長、自発分極等)を変化させることができるのが知られている。しかし、これまでの液晶ドーパントの多くがジアゾベンゼンやチオインディゴなど熱でも異性化してしまう分子であり、光でのみ異性化するドーパントの報告例は少ない。フルギド類は、熱非可逆的なフォトクロミック分子である上、開環体は振れキラリティーを有している。それゆえ、フルギド構造を含むドーパントは、光でのみSmC^*液晶のピッチ長や自発分極などを変化させることが可能であると考えられる。液晶ドーパント研究の実績のあるクイーンズ大(カナダ)R.P.Lemieux教授と協働で、新規キラルフルギドドーパントの合成を試みた。
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Research Products
(4 results)