2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01874
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大藪 由美子 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 古人骨 / 受傷痕 / 実験考古学 / 弥生時代 |
Research Abstract |
弥生時代の復元武器を用いて切創を作成する実験を行った。これまで、傍証的に語られていた弥生時代の古人骨に残る傷痕の原因武器について、より実証的に原因武器を明らかにすることを目的として行っている。実験には、弥生時代の武器の精巧なレプリカ(打製石剣、磨製石剣、銅剣)と弥生時代の鉄剣の代用として現代の鉄斧を使用し、ニホンザルの新鮮骨に切創を作成した。各武器による切創は、表面と断面の形態を実体顕微鏡にて観察し、比較分析を行った。切創の表面形態の特徴として、打製石剣による切創では不定形な数条の条線ができることが大きな特徴であり、他の武器による切創は一本の条線ができただけであった。断面の形態的特徴を切創の幅と深さの関係でみると、石製の武器による切創では、金属製武器による切創より幅に対して浅い形態となっている。一方、金属製武器による切創では鋭いV字状の形態的特徴を示し、幅の割に深い切創になった。また、石製と金属製のそれぞれの武器による切創の幅に対する深さの比率を統計学的に比較分析すると、両者の間には有意な差が認められた。これらのことから、石製武器による切創と金属製武器によるものとは、区別できる可能性が高いことが示唆される。さらに、二種類の金属製武器による切創を比較すると、両者の切創は似た形態になることが明らかとなり、積極的に区別することができない。これら切創の形態分析から、石製と金属製のそれぞれの武器による切創の形態の違いが明確になったことにより、今後、古人骨における受傷痕の原因武器が石製であるのか金属製であるのか推測するために大いに役立つことが期待される。
|
Research Products
(1 results)