2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J01894
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武田 はるな 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | LKB1 / p53 / Peutz-Jeghers症候群 / 過誤腫 / 肝癌 |
Research Abstract |
Peutz-Jeghers症候群(PJS)は胃腸管に過誤腫を形成し、高い発癌率を示す遺伝性疾患である。PJSのモデルマウスであるLkb1+/-マウスは、胃腸管および、肝臓に腫瘍を形成する。p53がLKB1と結合しLKB1の機能を制御している報告があることから、当研究室ではLkb1+/-p53-/-複合変異マウス(Lkb1+/-p53-/-マウス)を作出した。 (1)Lkb1+/-p53-/-マウスの胃における腫瘍形成の解析 Lkb1+/-p53-/-マウスの胃における腫瘍発生時期を解析したところ、Lkb1+/-マウスに比べ、8週早く腫瘍形成が始まることが示された。次に腫瘍の組織型を比較したところ、Lkb1+/-マウスに形成される腫瘍と同様の組織型であることが示された。Lkb1+/-マウスはLkb1のhaploinsufficiencyが原因で腫瘍を形成する。Lkb1+/-p53-/-マウスにおいても同様の機構で腫瘍が形成されるかどうかを調べるために、胃の正常部と腫瘍部において、Lkb1の野生型DNA量とタンパク質をゲノミックPCRとウェスタンブロッティング法を用いて、比較した。これらが正常部と腫瘍部で変化がなかったことから、Lkb1+/-p53-/-複合変異マウスにおいても、Lkb1のhaploinsufficiencyが原因で腫瘍が形成されることが示された。以上のことより、p53をLkb1+/-マウスにおいて欠損させると、腫瘍の発生時期を早めることが示された。 (2)Lkb1+/-p53-/-マウスの肝臓における腫瘍形成の解析 Lkb1+/-p53-/-マウスの肝臓における腫瘍形成時期を解析したところ、Lkb1+/-マウスに比べて腫瘍形成が早まることが明らかになった。次に腫瘍の組織型を比較したところ、Lkb1+/-マウスに形成される腫瘍と同様の組織型であることが示された。Lkb1+/-マウスはLkb1のLOHが原因で肝臓に腫瘍を形成する。Lkb1+/-p53-/-マウスの肝臓における腫瘍においてもLkb1のLOHが観察されたことから、p53を欠損させることで肝臓におけるLkb1のLOH頻度をあげ、腫瘍発生時期を早めていることが示唆された。 (3)Lkb1+/-p53-/-マウスの卵巣における腫瘍形成の解析 Lkb1+/-p53-/-マウスは卵巣に悪性の腫瘍を形成する。これらの腫瘍ではLkb1のLOHが観察され、組織型はPJS患者でよく見られる型のものであった。以上より、Lkb1+/-p53-/-マウスは卵巣癌の有用なモデルとなる可能性がある。
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Research Products
(1 results)