2006 Fiscal Year Annual Research Report
腹側膵と下部胆管の発生機構の解析(Pdx1/P48とNotchシグナル)
Project/Area Number |
05J01901
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 晃久 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 膵発生 / Notchシグナル / Ptfla / 異所性膵 |
Research Abstract |
本研究は「Ectopic pancreas formation in Hesl knockout mice reveals plasticity of endodermal progenitors of the gut, bile duct, and pancreas」平成18年6月1日発行Journal of Clinical Investigation 第116巻第6号1484頁〜1493頁に掲載された。 【要旨】転写因子Ptflaは膵前駆細胞に発現し、未分化内胚葉での膵の運命獲得に必須な役割を担う。我々は、胎生期内胚葉における膵の位置決定(Ptflaの発現制御)におけるNotchシグナルの役割を明らかにするため、NotchシグナルのエフェクターであるHes1のノックアウトとCre/1oxPシステムを用いたPtflaの1ineage tracingとを組み合わせ、Hes1野生型でのPtfla-lineage tracingの標識パターンと比較検討した。Hes1KOマウスでは、ヒト異所性膵の好発部位である胃前庭部・十二指腸・総胆管に異所性のPtfla-1ineageで標識される組織がみとめられ、それらは全て成熟した異所性膵組織に分化していた。これらは胃・十二指腸・胆管の前駆細胞に異所性のPtfla発現が生じた結果、膵への運命転換がおこり、異所性膵に分化したものであった。さらにHes1/PtflaダブルKOマウスでは、異所性膵は形成されず、本来の消化管に分化した。以上より、NotchシグナルがPtflaの発現を制御することにより、胎生期未分化内胚葉細胞が膵になるか、胃・十二指腸・胆管になるかの細胞の運命決定を制御していること、胎生期の胃・十二指腸・胆管・膵前駆細胞は相互に運命変更しうる可塑性が有り、Pdx1陽性内胚葉でのPtflaの発現は、異所性膵発生に必要十分であることが明らかになった。本研究は膵発生メカニズムの解明に貢献し、今後の消化管組織を用いた膵再生医療の発展に寄与するところが大きい。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Ectopic pancreas formation in Hes1 knockout mice reveals plasticity of endodermal progenitors of the gut, bile duct, and pancreas2006
Author(s)
福田晃久, 川口義弥, 古山賢一郎, 児玉創太, 堀口雅史, 久原 毅, 小泉将之, Daniel F.Boyer, 藤本康二, 土井隆一郎, 影山龍一郎, Christopher V.E.Wright, 千葉 勉
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Journal Title
Journal of Clinical Investigation 第116巻第6号
Pages: 1484-1493