2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者のQOLの改善と痴呆予防に対する笑いの有効性についての検討
Project/Area Number |
05J01912
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
広崎 真弓 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 笑い / 質問紙 / 地域在住高齢者 / QOL / ADL |
Research Abstract |
開発を行った笑いを評価する質問紙の妥当性の検討を行い、笑いと心身の健康との関連について横断的に調べることを目的として、地域在住高齢者を対象に調査を実施した。対象は、高知県土佐町で実施された健康診断の受診者399名(男性147名、女性252名、平均年齢77.7±6.6歳)とした。健診時に、笑いの質問紙(笑いの表出強度、コーピングとして意識・利用、笑いの産出、笑いを好む、笑いの頻度、作り笑いの6つの下位尺度で構成、全30項目)を用いて調査を行い、基準関連妥当性の検討として、抑うつを評価する質問紙であるGDS(Geriatric Depression Scale)との比較検討を行った。また、笑いの頻度とADL(日常生活活動)機能、主観的QOL(健康・家族・友人関係・経済・幸福)のスコアおよび他の健診項目との関連についての検討を行った。 1.女性は男性よりも、笑いの頻度、表出強度、コーピングとして意識・利用の各スコアが高かった。 2.男女ともに、笑いの頻度のスコアとGDSのスコアの間に有意な負の相関が見られた。 3.同じく、高次ADL機能の一つである知的能動性・社会的役割のスコアと笑いの頻度のスコアとの間に有意な正の相関が見られた。 4.笑いの頻度を平均値で上位下位2群に分けたところ、女性では、笑いの頻度が高い方が主観的QOLのスコアが全項目で有意に高かった。男性では、家族関係のスコアのみが笑いの頻度高群で有意に高くなっていた。 笑いの質問紙の併存的妥当性が確認されたと共に、地域在住高齢者において、日常生活における笑いの頻度と抑うつやQOL、高次ADL機能などに関連が見られ、男女差があることも示唆された。
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