2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい原理に基づく電子移動型バイオセンサの基盤研究
Project/Area Number |
05J01937
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒスタミン脱水素酵素 / アミン脱水素酵素 / ヒスタミンセンサ / 分子内電子移動 / 基質認識機構 |
Research Abstract |
現在までに我々は電子移動型バイオセンサの基本原理について研究を行ってきた。安全かつ信頼性の高い食品・水質管理および在宅医療などにおけるバイオセンサの役割は非常に大きい。そこでアミン脱水素酵素を例として取り挙げ、高感度・高選択的なバイオセンサ作製を視野にいれた研究を行っている。具体的には酵素機能、特に基質認識・電子伝達機構を追及し、それに基づいたより戦略的な酵素の改変を行う。まず、X線結晶構造解析から判明した活性中心付近のアミノ酸残基をソースの異なるヒスタミン脱水素酵素間で比較し、G268D/D269C、Y180F、G268D/D269C/Y180F変異体を作製した。先に最適化した大腸菌発現系を用い、これらの変異体を単離後、分子活性やミカエリス定数などの定常状態速度定数を測定し比較した。その結果、後者2つの変異体はプトレッシンやアグマチンに対する活性が低下することが分かった。また、野生株由来の酵素は基質阻害を示すが、これら2つの変異体はこの基質による阻害が弱くなった。各々の変異が及ぼす活性の低下と基質阻害の減少の程度が類似していたことから、基質結合サイトが複数存在しないことが示唆された。よってこの結果に基づき新たな基質阻害機構を提案し、速度式を導くとともに議論を行った。また、ヒスタミン脱水素酵素は酸化還元子ファクタとして6-S-Cysteinyl FMNを含有するが、この酸化還元挙動を新規な分光電気化学法である無隔膜バルク電解法により評価した。その結果、還元体/セミキノン体対酸化還元電位はpHに依存して変化した。また、基質で還元したヒスタミン脱水素酵素を用いてESR測定を行ったところ、高pHにおいて強いフリーラジカルのシグナルを示すことが分かった。このことはFMNがpHの変化に伴い、1段階の反応から2段階の電子移動反応に変化することで熱力学的にセミキノンラジカルが安定化されるためと考えることができる。現在、より詳細な議論を行うため、さらなる変異体の作成及びストップトフロー装置を用い遷移状態の観測を行っている。
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Research Products
(1 results)