2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ras/MAPキナーゼシグナル伝達経路調節因子Sefの機能解析
Project/Area Number |
05J01980
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥居 暁 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ERK MAPキナーゼ / Sef / 調節因子 / スプライシング / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
ERK MAPキナーゼは細胞外刺激によって活性化し多彩な生命現象の制御に関与する。ERKの機能する場所及び活性化持続時間が細胞応答の特異性決定の重要な要因となっていると考えられている。これまでの研究で私はSefがこの経路の空間的な調節因子として機能することを明らかにした。近年SefのスプライシングアイソフォームであるSef-Sが存在することが見出されており、私はこのSef-Sに関して解析を行った。Sef-Sを発現するmRNAはヒトでS1型、マウスでS2型が報告されていた。クローニングの結果、ヒトにおいてS1型、S2型の二種類のmRNAがあることがわかった。Sef-Sの機能解析を行った結果、Sef-Sは細胞質に局在し活性型MEKと結合した。しかしながらERKの核内移行は阻害せず、むしろ増殖刺激依存的なElk-1の活性化を促進することがわかった。Sef-SによってSefの活性型MEKへの結合が阻害されたことから、Sef-SがSefに対して優勢不能型として機能するのではないかと考えられる。ERKの活性化の持続時間を制御する調節因子としてSproutyが報告されておりその機能がSproutyのチロシンリン酸化依存的であることが示されている。このSproutyのリン酸化に関して解析を行った結果、Sprouty1もSprouty2も刺激依存的にチロシンリン酸化されるがその時間経過に違いがあることがわかった。またSproutyはShp2により脱リン酸化されると報告されている。そこで刺激依存的にShp2と結合して活性化させるSHPS-1に着目してSproutyのリン酸化に対する影響を調べた。その結果、SproutyとSHPS-1を共発現させるとSproutyのリン酸化が阻害されることがわかった。このことはSproutyのリン酸化が他の因子によって厳密に調節されうることを示している。
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