2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経情報伝達の可逆的制御による運動学習制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
05J01992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 教男 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小脳 / 運動学習 / 瞬目反射 |
Research Abstract |
テトラサイクリン遺伝子発現調節システムを利用した、可逆的に小脳顆粒細胞からの神経伝達物質の放出を阻害させることのできるトランスジェニックマウスを用いて、小脳依存性の運動学習の一つである、瞬目反射行動実験を行った。アメリカBio-Serv社から、マウスDoxycycline飼料、control飼料を購入し、マウスに経口投与することにより、またSigma社からDoxycyclineを購入した後、水に溶解して飲料水として、別途購入した遮光した容器に入れて投与することにより、小脳顆粒細胞からの情報伝達が阻害されていない場合、阻害した場合、阻害後回復した場合の条件を作成した。それぞれの条件における瞬目反射の学習効率を7日間測定したところ、野生型マウスは、連日、試行を繰り返すにつれて学習効率が上昇したが、情報伝達を阻害したトランスジェニックマウスは、野生型のマウスに比べて瞬目反射の学習効率が低いままであった。また、阻害と回復の条件、学習試行の開始の条件を組み合わせた行動実験を行った。情報伝達を阻害後、回復させたマウスは、阻害時の学習効率が低いままにもかかわらず、回復させた後に再学習実験を行うと、再学習実験初日にもかかわらず高い学習効率示した。これは、情報伝達が阻害されたにもかかわらず、小脳顆粒細胞とプルキンエ細胞間以外で学習の獲得が行われたことを示している。さらに、小脳プルキンエ細胞の出力先であり、瞬目反射にかかわっている小脳中位核を、電気的に破壊した。中位核を破壊すると、阻害後回復させたマウスにおける再学習実験初日の学習効率は低いままであった。瞬目反射学習の獲得部位は、小脳中位核である可能性を示唆している。
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