2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ科樹木の地形特異的な空間分布に果たす更新初期段階での外生菌根菌の役割
Project/Area Number |
05J02031
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
辻野 亮 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 外生菌根菌 / 地形 / ブナ科 / 空間分布 / 屋久島 / 菌類相 |
Research Abstract |
今年度は,昨年度に引き続き屋久島低地照葉樹林に発生する菌類相と地形特異的な菌類子実体の発生状況の野外調査と菌類のDNA解析を行い,これまでの菌類調査の結果を踏えて日本菌学会,日本生態学会において研究発表を行った. 1.屋久島低地照葉樹林の菌類相を明らかにする上で重要と考えられる世界自然遺産地域に2箇所とそれ以外の地域に2箇所を選考し,尾根と谷という異なる地形で菌類の探索を5・8・9・10月に行った.2001年から2006年までの調査結果から,屋久島低地照葉樹林にはすくなくとも40科142種と多数の同定不能種が存在することがわかった.今年度採取したキノコからはDNA抽出用の小片を切り出し冷凍保存している.採取したキノコ小片から徐々にDNA抽出とPCR-RFLP解析を行っている.また,DNA小片を切り出したキノコサンプルの一部は乾燥して保存している. 2.地形特異的に空間分布するブナ科植物と共生関係をもっている外生菌根菌が地形特異的に発生するかを明らかにするために,上述4箇所の調査地の尾根・谷地形で菌類の探索を行った.これまでの経験上,台風の直後に外生菌根菌であるテングタケ科やベニタケ科,イグチ科などの大型キノコが発生しやすいことがわかっていたので,予備調査を5月に,本調査を台風シーズンの8月下旬から9月初旬にかけて行った.この調査によってキノコの発見しやすさは尾根と谷で大きく異なるものの,調査者のおよそ1m近傍でしか良い発見率を維持できないこと,外生菌根菌の子実体は尾根地形に発生しやすいことが明らかになった.地形によって環境条件がことなることで菌類の生育範囲が限られて子実体の発生状況の地形差という形で見出されたと考えられた.
|
Research Products
(6 results)